TerraClassicUSD (USTC) は、Terra Classicブロックチェーン上で発行される分散型アルゴリズムステーブルコインであり、米ドルにペッグするように設計されています。USTCは、以前はTerra USD (UST)ステーブルコインとして知られていましたが、2022年5月にUSTの米ドルペッグが外れた後、Terra Classicへのブランド変更を経てUSTCが旧Terraブロックチェーンで発行されました。
旧TerraチェーンはTerra Classicに名称変更され、現在のTerraブロックチェーン(Terra 2.0)はアルゴリズムステーブルコインを廃止し、Web 3.0と分散型アプリケーション(dApps)をサポートします。一方、Terra ClassicネットワークはUSTCステーブルコインをサポートし、価格の安定化にLUNA Classic (LUNC)を使用します。
Terra ClassicブロックチェーンはLUNCを使用してUSTCステーブルコインの価格安定性を確保しますが、2022年8月の時点で仮想通貨市場でのLUNCの供給数量が非常に多いため、TerraClassicUSDの価格は米ドルから乖離したままであり、1ドルの価値を大きく下回っています。
Terra Classicコミュニティは、USTCの米ドルペッグを回復するために、LUNCをバーンして流通供給数量を減らしています。ただ、2022年8月までに6.9兆を超える総供給数量が流通数量6.6兆未満に減少したのみです。
Terra Classicエコシステムの開発を行っている韓国のTerraform LabsとLuna Foundation Guardは、Terra ClassicブロックチェーンのネイティブトークンであるLUNA Classic (LUNC)を利用して、市場のボラティリティによらず、Terra Classic USDの価格をできるだけ米ドルに近づけることを目指しています。USTCは、現実のドル準備金に裏付けではなくアルゴリズムを使用して価格維持を図っており、競合の人気ステーブルコインとは異なるメカニズムを採用しています。
USTCの需要が増加すると、アルゴリズムはLUNCのバーン比率を上げて米ドルとのペッグを維持します。現状では、市場でUSTCの需要が減るとLUNCのバーン比率が下がり、USTCの価格が米ドルペッグに近づくのを防いでいますが、将来Terra ClassicプロトコルがUSTCの米ドルペッグを戻すことに成功した場合は、USTCの需要減少に応じてLUNCトークンをミントし、価格安定性を維持することになります。
USTCが米ドルペッグを取り戻した後、Terra ClassicはLUNCをバーンして新しいUSTCをミントする予定です。LUNCの供給数量が減少することで、USTCの価格が米ドルにペッグされ、USTCの流通数量が増加することになります。
Terra Classicブロックチェーンは、USTCのペッグの変動に対応するため、ノードがLUNCをステークするPoSコンセンサスの仕組みを採用しています。Terra Classicネットワークは、市場で総供給数量が変動してもUSTCステーブルコインの価格安定性を維持するために、シニョリッジ(通貨発行益)プロセスを採用しています。
Terraブロックチェーンは、グローバル決済手段としての仮想通貨の普及を促進することを目的として2018年1月に誕生しました。アジア各国の大手Eコマース事業者15社で構成される「Terra Alliance」を設立し、Terraネットワークインフラの整備に着手しました。
2019年4月にDo Kwon氏とDaniel Shin氏は、TerraブロックチェーンをネイティブトークンLUNAと共に立ち上げました。その後、2020年9月にTerraUSD(UST)というステーブルコインが登場します。
発表から2年足らずで、BUSDやDAIなどの既存ステーブルコインを抜き、時価総額で第3位のステーブルコインとなりました。Terraは、USTをチェーン間デジタル資産として複数のブロックチェーンエコシステム上で動作させ、DeFi拡大の実現を設立当初から想定していました。
市場の暴落を受けて、Terraform Labsは旧Terraブロックチェーン(Terra 1.0)を新しいチェーンTerra Classicにブランド変更し、デジタル資産をLUNAとUSTからそれぞれLUNA Classic(LUNC)とTerraClassicUSD(USTC)に変更すると発表しました。新しいTerraエコシステムは、Terra Classicネットワークで稼働していたAppsのいくつかを新ネットワークでサポートしています。なお、TerraもTerra ClassicもPoSを採用したブロックチェーンです。
USTCには以下のような用途があります。
多くのDeFiプラットフォームは、USTCプールへの流動性提供に対して魅力的な利回りを提供しています。保有するUSTCを流動性プールに一定期間預けることで受動収益を生み出すことができ、USTCを有効活用できます。
いくつかの取引所にて、USTCを基軸とするペアの提供を開始しています。USTCを他の仮想通貨と売買したり、Terra Classicプロジェクトとステーブルコインの将来性を信じて長期保有したりできます。USTCを取引する前に、USTC価格、USTC時価総額、24時間出来高、流通供給数量を確認し、USTC価格チャートでテクニカル、センチメント、ファンダメンタル分析を行ってください。
商品・サービスの購入のためオンライン決済にUSTCを利用できます。仮想通貨決済をサポートする企業にとっては、USTCのようなステーブルコインを使うことは他の仮想通貨を使った取引よりも便利な手段となります。
Terra Classicブロックチェーンでは取引手数料が安いため、世界のどこにいるユーザーにもコスト効率よく送金することができます。自分のウォレットから他のユーザーの仮想通貨ウォレットにUSTCを送るだけで、高速かつ安価な取引を行うことができます。
期間 | 変動 | 変動率 (%) |
---|---|---|
今日 | $0.00314 | 12.50% |
7日 | $0.0048 | 20.48% |
30日 | $0.00851 | 43.13% |
3か月 | $0.00465 | 19.71% |
USTCは、仮想通貨市場で数少ないアルゴリズム・ステーブルコインであり、2022年5月の崩壊以降、苦戦が続いています。旧Terraエコシステムでの過剰な新規ミントにより、USTCとLUNCは流通数量が過度に多く、両トークンの価値に下落圧力がかかっているため、崩壊の影響を受けた投資家に大きな損失を与えています。
投資家心理が改善すれば、将来的にUSTCが1ドル台に復帰し、米ドルとのペッグが復活する可能性があります。こうなれば、ユーザーやプロジェクトへのステーブルコインの普及を促す可能性があります。
また、USTCを活用したTerra Classicブロックチェーン上でのdAppsの設計やデプロイを行う開発者の参入を後押しするでしょう。Terra Classicエコシステムが盛り上がれば、市場におけるLUNCのバーン比率を高め、USTC価格の上昇に寄与する可能性があります。
一方、USTCへの投資は、このプロジェクトが直面する可能性のある規制上の課題により、慎重に行うべきでしょう。Terraブランドは、旧USTステーブルコインとLUNA 1.0の崩壊からまだ回復しておらず、再ペッグへ向けて慎重に取り組んでいるため、USTCへの投資の前には様子を見るべきです。
崩壊前のTerraUSD(UST)は、仮想通貨市場で最大のアルゴリズム・ステーブルコインであり、ステーブルコインにおいて3番目に大きな時価総額を誇っていました。しかし、2022年5月上旬にクジラや大口保有者がUSTの流動性をAnchor Protocolから移動させ始め、USTは米ドルとのペッグを失いました。
Anchor Protocolは、USTの貸出に19.5%という魅力的なリターンを提供するDeFiプラットフォームでしたが、かねてよりプラットフォーム上でUSTの貸出がUSTの借入よりも多く、アンバランスな状態が続いていたことが問題視されていました。このアンバランスさがAnchor Protocolが提供する高い利回りを持続不可能にしてしまいました。
5月の急激な売りがUST投資家のパニックを引き起こし、ステーブルコインを投げ売ったことで、Terraブロックチェーンは必死にLUNAをミントして米ドルとのペッグを安定させようとしたのです。結果として、LUNAの価格も暴落し、USTも1ドルからさらに下落し、Terraの人気ステーブルコインの崩壊を引き起こしました。
これは2022年5月下旬の出来事で、投資家の損失は400億ドル以上と推定されています。Terraの創業者らは、新規のTerraブロックチェーンを開発し、Terra 1.0をTerra Classicにブランド変更するという再生計画を発表しましたが、2022年8月時点でTerraform LabsがUSTCステーブルコインに対する投資家の信頼を回復できるまでには至っていません。
2022年8月現在、USTCの総供給数量は102.5億を超えています。一方、USTCの流通数量は98億超となっています。
USTCが米ドルからデペッグされたままとなっている主な理由は流通数量の多さがあります。仮想通貨の積極的な普及が進んで、より多くのトークンがバーンされれば、USTCの時価総額が維持され、1ドル復帰を後押しする可能性があります。
TerraUSD(UST)とTerraClassicUSD(USTC)には、以下のような重要な相違点があります。
USTステーブルコインは、旧Terraネットワークで機能していました。2022年5月の暴落後、Terraform LabsはこのブロックチェーンをTerra Classicに、USTステーブルコインをTerraClassicUSD(USTC)にリブランドしました。
その後、Terraform Labsは新たに「Terra」ブロックチェーンネットワークを公開しましたが、このネットワークはステーブルコインをサポートしていません。Terraのネイティブアセットは、LUNAと呼ばれています。一方、旧TerraブロックチェーンのネイティブアセットであるLUNA 1.0は、LUNA Classic(LUNC)として生まれ変わりました 。
旧USTステーブルコインは、2022年4月時点の出来高、時価総額、利用率において3位のステーブルコインで、仮想通貨市場で高い人気を誇り、2022年5月に相場が暴落するまで米ドルとのペッグを維持することに成功していました。
崩壊前、旧TerraUSD(UST)は、仮想通貨時価総額で上位10位に入っていました。USTの過去最高時価総額は、2021年12月に普及率が過去最高を記録した際の90億ドル超です。
一方、TerraClassicUSD(USTC)は、2022年8月現在で112位となっています。本稿執筆時点で、USTCの時価総額は3億1,700万ドル弱となっています。
ブランド再構築の取り組みを受けてのUSTCの価格は、、2022年8月時点ではまだ1ドルの大台に復帰できていません。USTCが米ドルとのペッグを取り戻せないのは、市場におけるUSTCとLUNCの流通数量が極めて多いことに起因しています。また、かつての旧バージョンに比べて、ユーザーへの普及率が非常に低い水準にとどまっています。
USTCをステーキングすることで、受動収益を獲得することができます。大手仮想通貨プラットフォームには、USTCに対して魅力的な受動収益機会を提供しているところがあります。以下、USTCステークで魅力的なリターンを得る手順をご紹介します。
-USTCステーキングに対応して、APYを提供しているプラットフォーム(CEXやDEX)をオンライン検索します。
-パフォーマンス、フィードバック、予定利率を確認し、USTCをステークするプラットフォームを選びます。
-選んだプラットフォーム上で口座を作成し、KuCoinなどで購入したUSTCをウォレットに入金します。
-そのプラットフォームの「ステーク/ステーキング」ページにアクセスし、ステークするUSTC数量や、資産をロックする期間を選択します。
-確定する前に、取引に関するすべての詳細を確認します。
-注文が処理されたら、USTCのステーキング報酬を獲得し、保有数量を増やすのに活用します。